▽展覧会「聖地チベット-ポタラ宮と天空の至宝-」を鑑賞


▽展覧会「聖地チベット-ポタラ宮と天空の至宝-」を鑑賞

 チベット文化を総合的に紹介する、わが国初の展覧会。出品全123件(173点)のうち、36件が一級文物(日本の国宝に相当)という貴重な作品群。

 インド最後期密教の伝法を、発祥の地インドで師達から受けた私達。チベット密教はそれにほぼ近い後期密教を伝えられ、今日までそれを全く変えることなく(ある意味発展も進歩もせずだが…)行法を伝えている。

 インドを中心としたアジアの仏教文化圏のなかでも、護摩行などの密教儀礼を実践しているのはチベットと日本くらいしかない。21世紀の今も、チベットと日本には生活に根ざした密教が息づいている。
 密教の思想は、インドにおいて体系立てられ、発展した。日本の密教は、6-7世紀頃にインドから中国に伝わり、9世紀に空海・最澄らによって伝えられたもので、「中期密教」と呼ばれ、『大日経』に説かれる胎蔵マンダラと『金剛頂経』に概略が説かれる金剛界マンダラを重視する。
 対して、チベットの密教は、8世紀以降にインドからチベットに伝わり、教義が整理されたもので、「後期密教」と呼ばれ、瑜伽(ゆが)タントラ、無上瑜伽(むじょうゆが)タントラと呼ばれる密教経典が誕生。その本尊の多くは、多面多臂で恐ろしい形相をしており、配偶女尊と抱き合う忿怒歓喜仏の姿が多くとられている。

 そんな訳で、チベットには(というか仏教国には)凄く敬意を抱いている私達夫婦。そんなチベットの至宝がたくさん見れるということで、妻と私の両親の4人で、「上野の森美術館」で行われた展覧会に行ってきた。

 チベットの仏像が多数展示してあり、特に目玉は守護尊(イダム)である「カーラ・チャクラ父母仏(ふもぶつ)」である。会場の真ん中に置かれて、扱いも特別だ。しかも布で隠されず全開で見れるのが最高。この仏(ほとけ)の絵は持っているが、さすがにチベットの仏像本体は少ししか持っていない。
 後期密教において、チャクラサンヴァラ、ヘーヴァジュラ、ヴァジュラバイラヴァ、カーラチャクラなどのへールカと呼ばれる忿怒尊(ふんぬそん)が登場する。これらの仏たちは多くの顔と腕を持ち、明妃と交わり、しかも人々を恐れさせるような外見をしている。4つの顔にはそれぞれ3つの眼があり、24本の腕には金剛杵、鈴、斧、弓、矢、索などが見られ、明妃ヴィッシュヴァマーターを抱いた姿にあらわされている。この仏の名前が、サンスクリット語で時間(カーラ)と輪(チャクラ)を意味することからわかるように、時間の流れを象徴する尊格。こうした父母仏の姿は一般には見せるものではないとされているため、通常は錦の衣をまとって隠されている。
 ・・・思わず妄想する、資料を渡して、日本の仏師に作ってもらうか、又はチベット政府にがんばって寄付してお礼にいただくか・・・。と考えたが、妻に全部却下される;

 高名な僧侶も大きな像になっていた。全て金属製なのが日本とは違う点だ。要するに金キラ金なのだ。高名なそうが明王・菩薩に似た姿で作られている。私はその中の「ヴィルーパ」さんと似ている、と妻と母が笑っていた;彼の人はガンジス川を逆流させたり、太陽を担保に飲み屋に行ったという豪快さんである。この様な豪傑?と似ているのは光栄だが;

『しかしこの展覧会には問題がある・・・』

 その問題とは出品元が「中国チベット自治区文物局」「中国文物交流中心」であることだ。つまりチベットではなく、侵略で展示物を奪った中国からの出展なのである。チベット密教的には最高級の宝である。これらを護ろうと、命を失った僧たちの数も多い。

 純粋にああ観て良かったとは思えない。チベットは中国に支配され、亡命政府は今だインドにある。そして多くのチベット密教の至宝が失われた。同じ仏教の国として、チベットに何かできないか今も考える。

『夢際(ゆめぎわ)-永遠なる夢幻(むげん)- No.002』

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