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「智恵」というものは、
すべての生物―人間だけではなく地球上のすべての生物―に、
宿っているのではないでしょうか。
言葉や知識では測れない「命の智恵」―

たとえば、野生の鳥は、生まれたときから巣の作り方を知っていますね。
誰に教わらなくても、枝を集めて精妙な巣を作ったり、
木に穴をあけて子育ての営みをします。
それは、あとから知識として教えられたものではなく、
生まれもっての智恵、命本来の智恵のようなものであると思います。

智恵と共に生きている動物たちは、
自分が何をすべきか、どう生きるか、ごく自然に知っていて、
だから悩んだり、考え込んだり、迷ったりはしません。
迷うことなく、まっすぐに生きています。
それは、智恵というものが、
思考(思い考えること)や言葉、知識ではないからだと思います。
動物たちは、生まれもっての智恵と本能のままに、
悩み考えることなく、まっすぐ、命のままに生きています。

しかし、人は、悩み、考え、迷ってしまいます。
恐れたり、悲しんだり、落ち込んだりもします。
でも、そんな私たち人が、動物たちのように、
本来の「智恵」を思い出し、「智恵」と共にあることをできれば、
迷いや悩みなく、まっすぐに生きていけるのではと思います。
生まれもっての智恵、人本来の智恵、迷うことなき命本来の智恵―
それは生まれたときから、ずっと私たちに宿っているものだと思います。

私たちは赤ん坊のころ、知らず知らずのうちに、
乳が欲しくて母のおっぱいを求めていました。
幼児のころになると、知らず知らずのうちに、
立って歩くことができるようになりました。
それは、誰から教わったり、自分で努力したわけではなく、
人間に宿る自然な智恵、体と共にある智恵が働いていたからではないでしょうか。
考えたり、言葉で語ったりということのない本来の智恵―
そしてその智恵は、大人になった今でも、
常に私たちと共にあって、働いている・・・
でも、そのことを私たちは、大人になるにつれて忘れてしまうのかもしれません。

赤ん坊や幼児のころは、
決して悩んだり、迷ったりはしませんでしたね。
命をまっすぐに生きていました―動物たちと同じように。
それは、本来の「智恵」と共に生きていたからだと思います。

小さかったあのときのことを思い出し、
私たちの体に宿っている本来の智恵を思い出し、
その智恵と共に今も生きていることを思い出せば、
悩みも、迷いも、苦しみも、葛藤も、悲しみも、
すべて乗り越えていけるのではと思います。
迷いなく生きる動物たちの無垢、赤ん坊のころの無垢を取り戻せれば・・・

悩まないこと、考え込まないこと、迷わないこと―
生まれもっての本来の智恵と共に、
思考や言葉にとらわれず、心単純に、まっすぐ生きること―
忘れてしまった本来の智恵を思い出し、
今でもそれと共にあることを思い出し、
その智恵に育まれ、生かされていることを思い出すこと―

そうしてはじめて、伸び伸びと、自由に、とらわれなく、
心豊かに、幸せに生きていけるのではないかと思います。
私たちに宿る、本来の智恵―
このことに、今一度気づき、目覚めることが大切ではないかと思います。

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