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現代はあまりにも物が溢れる世界になってしまった。

そして利益だけを追求するビジネスと経済戦争は留まることを知らない。

私たちはこう言っている。

「まだ足りない」「もっと欲しい」「もっと発展しなければならない」と。

行き過ぎた科学技術や進歩への野心、経済的な成長と金銭への貪欲さ。

世界は終わることのない心の飢えが蔓延している。

私たちは「もう十分だ」とは決して言わない。

もっと上を目指したい、もっと成し遂げたい、もっと実現したい、

もっと得たい、もっと自分のものにしたい、もっと強くなりたい─

人間の追求欲と満足への渇望は絶えることがない。

本当の意味での「人間の進化」とはそうしたものなのだろうか。

「人類の進歩」とは、絶えざる欲から生まれるものなのだろうか。

物質的な発展や、世間的な成功というものが人間の進歩だろうか。

物や街が発展しても、私たち人間の心は原始的なままではないだろうか?

どんなに経済が発展し、国が栄えても、心が野蛮であれば何の意味があるだろ?

戦争は今も続いている。国と国との争い、人と人との争いは終わることがない。

外見は発達しても、私たち人間の心は原始的なままである。

人類の本当の進歩とは「心の成熟」にほかならない。

人類は本当に成熟してきただろうか。本当に進化してきただろうか。

欲、追求、エゴ、憎しみ、戦争、攻撃心、物や金銭や名誉への執着。

不安、恐怖、悲しみ、絶望、葛藤、寂しさ。

人間の心はずっと同じままである。

文明国、例えば日本は経済的にも物質的にも豊かな国だと言われる。

そしてそれが人間の幸せだと言われる。

しかし日本は世界の中でもトップクラスの自殺率を誇る。

これだけ進歩し、発展したと言われる国であるのに、

あまりにも多くの人々が自らの命を絶ってしまう。これが幸せな国の形だろうか?

経済大国と言われる日本。豊かな国と言われる日本。
しかしその国で暮らす人々は、常に不安や心配事や闘争を抱えながら生きている。

なぜだろう?

物に溢れた文明国は、決して幸せではない。

物とお金と便利さに溢れても、本当の幸せは生まれない。

競争、心の余裕のなさ、忙しさ、社会の圧力、生きるための闘い。

失敗と挫折、集団から疎外される恐怖、孤独への不安、虚しさからの逃避。

人間が溢れる文明国は決して幸せではない。

幸せは、物やお金や競争社会からは決して生まれない。

心が自由であること。

欲やエゴや不安にとらわれることのない心であること。

どんな心の苦しみを超越していること。

そのような心に成熟して初めて、幸せが生まれる。

成熟した心は、多くのものを求めない。

「もっと欲しい」「もっと得たい」「もっと自分を高めたい」とは思わない。

自分に執着することはしない。自分を失うことも恐れない。

欲がなければ憂いは起こらない。自分への執着がなければ恐怖も起こらない。

心の自由は、お金や物とは何ら関わりを持たない。

自由な心は、何も求めず、望まず、失わない。

生きることは闘いではない。

生きることは追い求めることではない。

何も求めることがなくなったとき、幸せはそこにある。

「生きている」ということそのものの幸せに気づくならば、

あなたは決して自ら不幸の中に飛び込むことはしない。

幸福は、今生きているということそのもののなかにある。

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