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もし人間が、宇宙の神秘を聴きたければ、

まず耳を傾けるということを学ばなければならない。

耳を傾けるとは、何もないまっさらな皿のような心で、

あらゆるものに注意を払って聴くということである。

子供の笑い声、鳥のさえずり、風の吹く音、川の流れる音─

深い心の沈黙のなかで刻々なる宇宙の活動の声に耳を傾けること。

そのような心なくして、宇宙の神秘が人間に語りかけることはない。

心が心配事や不安でいっぱいであれば、耳を傾けることはできない。

様々な問題を持ちこんで、心の中を物置のようにいっぱいにしてはいけない。

耳を傾けられる心とは、何もない空っぽの心である。

何も問題を抱え込まない空白の心であるからこそ、

そのような心は無限に広がる感受性を内包している。

宇宙の声は常に新しい。

万物の活動は常に驚きに満ちている。

生命の新たなる神秘を感じるには、心そのものが新たでなければならない。

古い革袋に新しい酒を入れても、その酒は新しさを失い古くなってしまう。

新しい酒を入れるにふさわしいものは、カビひとつ生えていない新しい革袋である。

人間の心が新たでないかぎり、生は古びてしまう。

心が空っぽの広大さ持っていないかぎり、生はありきたりになってしまう。

いくら耳を傾けても、心が古ければそこに新鮮さや驚きは生まれない。

耳を傾けるとは、無限の可能性を持った心で宇宙の声を聴くということである。

そして無限の可能性をもった心とは、塵一つない透明な空(くう)の心である。

真空の心、透明なる心。

それは開け放たれた心であり、美なる心であり、自由な心である。

そのような心であることで、宇宙は自然とその人間に神秘を開示する。

あらゆる可能性、創造性は、無限に広がる心と共にある。

神、神秘、宇宙の聖性を感じ取るには、無限の心がなければならない。

心の無限性こそ、失われることのない豊かな感受性を生む。

無限の心を宿して耳を傾けられる人こそ、宇宙と神の声を聴く人である。