なぜ人間は生きることに迷い、

「どう生きたらいいのか」と悩みこむのでしょうか。

「どう生きたらいいのか」と問うことそのものが心の混乱です。

心が混乱しているから、どう生きればいいのかわからないのです。

心の混乱を持たない人々、

恐怖なく、不安なく、葛藤なく、悲しみなく生きている人々は、

「なぜ生きるのか」「どう生きたらいいのか」という問いを持ちません。

生きていくことこそ生きる理由であるということを彼らは知っているからです。

知らず知らずのうちに生命の摂理を信頼して生きている、と言ってもいいでしょう。

そう、それはまるで何も知らない花がただ大地を信頼してそっと咲くように・・・。

不満や欲求、願望や理想、貪欲さや自己実現の追求─

こうしたエネルギーばかりに縛られているならば、

やがては生きることに行き詰ります。

そして人生そのものに迷い、絶望してしまうのです。

大地に咲く花は、ただ咲くことに精一杯です。

全身全霊で精一杯、花開くこと─それが花の命というものです。

そのなかで花は決して「どう生きたらいいか」とは問わないでしょう。

「なぜ生きるのか」という疑問も持たないでしょう。

花はただまっすぐに、精一杯生き、存在しようとするだけです。

人間は、この花の持つ生の真実を見失っています。

人間もまた、花の一生と同じなのです。

生きるということを精一杯生きてこそ、本当の人生です。

生きることに理由が必要でしょうか?

生きる理由は、生きることそのものなのです。

生きる理由を探し始めること自体が、心の混乱を意味しています。

「生きている」ということそのものに奇跡に気づくなら、

そして「生きている」ということそのものの深い愛に気づくならば、

人は生についての疑問を持つことはありません。

その時、人生の刻一刻が「意味」に溢れていることを悟るでしょう。

流れ去る刻一刻が意味に溢れた「生」なのです。

それは決して止まることなく生き続けているもの、

どんな問いもなく生き続けている生命の活動です。

その問いなき生命の活動と一つとなって生きることこそ、真理なる生です。