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大自然の中でただ一人で生きていると、

生きるとは何とシンプルなものだろうかと常に思う。

するべきことは何もない。

ただ見つめ、聴いている。

それがすべてだ。

果たすべき義務も、達成すべきも目標もない。

何かを獲得するために努力するということもない。

だからといって怠けてボンヤリ生きているというわけではない。

ただ注意を払って目の前のものを見つめ、聴き、

世界と心の動きを調和させ、

精神を目覚めさせて生きているだけなのだ。

こうして、ただ真剣に見つめ、静かに聴いていると、

人間の意識はまったく別次元のものになる。

神秘に溢れた沈黙の次元、

測り知れぬ深みをもった宇宙の底なしの次元がそこにある。

人はその異次元に没入する。

そこには言葉も、知識も、文化も、何もない。

ただ異次元なるものがある。

それは生命と宇宙の聖なる空間である。

見ること、聴くことの中に奇跡がある。

「何を見るか」「何を聴くか」が奇跡なのではなく、

「見える」「聴こえる」ということそのものが奇跡なのだ。

生の奇跡は、目的の中にも達成の中にもない。

目指されるものの中に奇跡はない。

真理に到る道というものは存在しない。

見ること、聴くことは、最初からすでにそこにある。

求めずとも、それはそこにある。

この世に生を受けた時から、それはそこにある。

ただ純然と「そこにあるもの」と共に生きること。

そこに生の奇跡がある。

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