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その一生のなかで人間がなすべきことは何か、

人の一生は何のためにあるのか。

アイヌの人たちはその問いに対する答をいつも頭に置いていた。

いろいろな辛いこと苦しいこと、

それを乗り越えて行くために人間は生きている。

人間の役というのはそういうことなのだ、とアイヌの人たちは考えていた。

したがって、自分の身にふりかかる災難や困難を自分への試練だと、とらえていた。

苦しみや悲しみにへこたれて、脱落したりすると、

その人生がもったいないというだけでなく、

人としての価値をなくしてしまうものだとさえ言われる。

あくまで苦しみを幾度も乗り越えていって、

最後まで乗り越えるのが人間というものであり、

さらに、その試練はより人間として大きく成長するためにある、

とアイヌの人たちは考えた。

つまり徳の高い人、アイヌ語で言うと、

人のなかの人、より人間らしい人間、

「アイヌネノ―アン―アイヌ」(より人らしく―ある―人)、

あの人こそ人のなかの人だ、そういう人間を目指す。

それに一生をかける。

そのために受ける試練、苦しみや悲しみを乗り越えたとき、

ただ、ああもうこれで悲しみが終わった、苦しみが終わったではなく、

その苦しみや悲しみを一つの勉強の場にして、そこで自分が大きく成長する。

そして次の試練、苦しみや悲しみでまた自分はさらに大きくなる。

そして最終的には温厚篤実な人間を目指す。

人間には二十五歳の命しかない人もいれば百歳まで生きる人もいる。

しかし二十五歳とか百歳というのは時間の問題であって、

大事なのはやってくる試練、苦しみにいかに耐えたか、

どう乗り越えていったかである。

「アイヌ、神々と生きる人々」より

◇ディヴァイン・ソウル＆梵我蓮‐スピリチュアル・ユニバーシティ‐

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