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かつてこんな人物がいました。

これは実際にあった話です。

その人は世間的な生活に挫折し、人間関係にも挫折し、

未来に希望を見出せず途方に暮れていました。

どこにいても、何をしても、人生は暗い闇になってしまいました。

そんな苦しみの日々を過ごし、やがて彼がたどり着いた答えは、

世俗から離れてスピリチュアルな生活を送るということでした。

彼はたった一人で、霊的なものを追い求める生活に入りました。

神を知りたい、霊的な次元に入りたい─その一心でした。

世俗の生活で挫折した彼には、生きる道は霊的な探究しかありませんでした。

それこそ自分の生きる意味だと確信したのです。

その後、彼は本を読み、瞑想し、霊的な幸福を必死に追い求めました。

そして彼はやがて、自分で霊的な次元に入ったと思い込みました。

彼は神を所有し、高い次元の霊的な体験を所有し、それによって自己満足を得まし
た。

彼は幸福で、この幸福を手放したくないと思いました。

しかしある日、彼はすべてを失いました。
これまで築き上げてきた霊的なもののすべてを失いました。

彼は神を見失い、霊的な満足感も消えてしまいました。

なぜそうなったのか彼自身にも分かりませんでした。

突如として、彼の中にあった霊的生活のすべてが跡形もなく消滅してしまったので
す。

彼は困惑し、絶望し、またしても途方に暮れました。

そして彼の心は壊れてしまいました。

何もかも失い、絶望と耐えきれないほどの虚しさだけが残りました。

彼は精神のバランスを崩し、大きな闇の中に落ち込んでしまったのです。

この話の真意を語りましょう。

たとえ霊的なもの(スピリチュアルなもの)であっても、

盲目的な欲望で追い求めるならば、

結果的に自らの精神のバランスを壊してしまうということです。

欲望は自らに盛る毒のようなもので、最後は自らを壊してしまいます。

スピリチュアルだからといって安心してはいけません。
むしろスピリチュアルだからこそ、一歩間違えば大変な状況に陥るのです。

なぜなら、スピリチュアルとはまさに「精神の世界」だからです。

それは自らの精神を変えるもの、精神の在り方を左右するものです。

良い変化もあれば、悪い変化もあります。そのことに注意しなければなりません。

スピリチュアルなものを追い求めすぎて、
逆に精神のバランスを崩してしまった人々はたくさんいます。

その多くは、盲目的な欲望によって霊的な自己満足を追い求めた結果です。

スピリチュアルでも、一歩足を踏み外せば大変危険なものとなるのです。

ですから、慎重に活動しなければなりません。
何よりも謙虚に、自分に厳しく歩まなければなりません。

欲望や自己満足の追求に流されてはいけません。
スピリチュアルとは、本来とても厳粛で神聖なものなのですから。

そこには欲やエゴによる自己追求があってはならないのです。

スピリチュアルは常に厳粛な心で、清い心で真剣に取り組まなければなりません。

慎重に、慎重に、ゆっくりと一歩ずつでよいのです。

一気に飛び越そうとするから誤るのです。

スピリチュアルは不安からの逃げたい一心で欲望によって飛びつくものではありませ
ん。

本当のスピリチュアルな成長の最初の一歩は、自らの欲望の汚れを浄化することで
す。

真のスピリチュアルとは、欲なきものであり、
大いなる厳粛さの中で起こるものです。

それは遊び半分で行うようなものではなく、

自らをしっかりと見つめる厳しい目があってこそのものです。

それなくして、真のスピリチュアルはありません。

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