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もしあなたが人生に迷い、悩んでいるのなら、

目の前に凛と立っている一本の樹を見つめてみよう。

その樹は、どんな迷いも、悩みも、苦しみも抱えていない。

あなたとその樹は一体何が違うのだろう?

樹は、確固不動としてそこに立っている。

なんの疑いもなく、不信もなく、ただ立っている。

樹は、どんな恐れも、不安も、葛藤も、悲しみも持たない。

その不動の自由・・・人と樹はどこが違うのだろう?

このことを深く洞察し、その真理を見抜いたならば、

あなたもまた真の自由とは何かということを悟るだろう。

樹は何も求めない。

求めないからこそ自由であり、満ち足りている。

しかし人は求める。満ち足りていないから求める。

求めるから自由は失われる。

求めるからいつまでも満ち足りることはない。

そこにあるの不安、葛藤、苦しみ、絶え間ない心の闘いである。

求める心、何かを得ようとする心。

それが恐怖を生み、不安を生み、葛藤を生む。

そして何かの所有に執着する心は、

全てを失ったときに絶望し、悲しみに暮れる。

何かを得るため、実現するために際限もなく追い求め、

何かを得てしまえば今度はそれを失うことを恐れる。

この所有と損失の繰り返しの鎖の中に人間は繋がれていて、

それが人間の終わることなき苦悩と不幸を作り上げている。

このような状態では、「自由」は窒息してしまう。

樹はただ生きている。

樹はただ存在している。

ただそれだけで満ち足りている。

それは「生命である」ということそのものの充足である。

「生命である」ということに、求めるものは何もない。

求めるものが何もないなら、失うものも何もない。

だからこそ「自由」であり、自由とは鎖なき丸裸の生命そのものなのだ。

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