現代人の多くは、

頭の中により多くの知識を詰め込もうとする。

専門知識や用語、科学的説明や様々に溢れる情報。

こうして頭の中は「知っていること」に溢れてしまう。

この知識の充満こそ、生から新鮮さを失わせ、

生そのものを貧しくしてしまうのである。

どんな知識も過去であり、決して新しいものではない。

新鮮さとは、未知なるものである。

未知であるからこそ、生は無限の驚きと新しさに溢れる。

しかし未知の無限性よりも既知の有限性が重要視されるとき、

その生は中古品となり、あたり前の平凡な感受性しか持てなくなる。

子供のように「何も知らない無垢」だけが、

生を爆発的に開花させ、終わることなき新しさを生む。

無垢のみが、退屈さを知らず、虚しさを知らず、

活き活きとした不滅の精神を生み出す。

詰まりに詰まった知識、言葉、過去の経験といったものに縛られ、

心を固定化させているならば、この「無垢」は決して生まれない。

無垢とは、昨日も明日も持たない全的な「空白の精神」である。

この空白に、無限の飛翔がある。

子供は神に出会う。

子供の心は、知識に汚されておらず純真な無垢であるから。

「何も知らない」ということこそ、最高の豊かさである。

それは、未知なる不滅性そのものである。

未知なるものに終わりはない。

未知なるものに始まりもない。

知りえないものは、永遠であり、到着地点がない。

知識には終わりがある。

知識とは到着地点であり、停滞することであり、過去である。

知識でもって説明されるとき、それが神秘の死となる。

子供にはどんな説明もいらない。

子供は子供のままの感性で、宇宙の神秘を感じているのだ。

大人はこの無垢の感性を失い、神も見失う。

詰まりに詰まった知識が、精神を荒廃させている。

知識は、生を豊かにはしない。

科学は、生の神秘を覆い隠す。

科学的知識が人間の精神を豊かに開花させることはない。

測り知れないからこそ限りなき生命なのだ。

説明不可能だからこそ驚くべき未知なる神秘なのだ。

現代には「科学で説明されることで真相が解明されている」という思い込みが存在する。

言葉で巧みに説明され、それがあたかも解答であるかのように納得させる。

しかしそれこそ最大の迷妄、人間の精神を眠らせるものである。

知りえないからこそ生は神秘でありえる。

知識、言葉は何も解明はしない。

知識も言葉も「命そのもの」ではない。

説明というものは生のリアリティを覆い隠す。

リアリティは体験されるものであって、説明されるものではない。

神秘は心で感じられるものであって、知識によって詰め込まれるものではない。

子供は純真で無垢であるがゆえに、開かれた無限の感受性をもつ。

生の神秘を感じるのは、このような無垢である。

その感受性は、知識、言葉、説明といったものの遥か彼方にある。

「知っていること」から自由であること。

情報、科学、言葉、説明、解釈といったものを超えること。

完全に未知であること。

それは測定限界を超えることである。

その終わりなき未知と無限の中に、真の生がある。

命を「知る」ことはできない。

宇宙を「知る」ことはできない。

あなたが知っている知識は、「現に生きているもの」ではない。

命は、現に動きつつあるもの、生きているものである。

現に生きているものを捕えることはできない。

捕えることができないからこそ、永遠に未知である。

宇宙とは、永遠に未知なるものである。

精神もまたこの次元に生きるとき、

人間そのものが不滅性をもち、終わることなき無限となる。