Check

「どの木にもそれにふさわしい実がなり、定められた季節がある。
その季節が続くあいだは、皆みずみずしくて花を咲かせるが、
時期が去ればひからびて、しぼんでしまう。

ところがイトスギはそのどちらの状態にも陥らず、いつも変わらず栄えている。
自由なるもの、つまり宗教的独立者とはそういう性質を備えた者のことだ。
束の間に消えてゆくものに心を奪われてはならない。イトスギのように自由であれ」

どんな世俗的な事柄も、精神的な事柄も、一時的なものにすぎません。
どんな体験も満足も、それは過ぎてしまえば消えてなくなるものです。
世俗的な成功も達成も、精神的な体験や観念も、全ては消滅的なものです。
つまり、時間の領域にあるものは全て消え行くものです。

この世の事物には必ず始まりがあり、そして終りがあります。
どんなに快い体験でも、心喜ばしい思い出であっても、
始まりを持つものには終りがあります。
輝かしいと思える過去も経験も、時間の領域にあるものは全て枯れるのです。

世俗的な事柄だけでなく、宗教や霊的な事柄についても同じことです。
あなたは何か霊的な体験をしたり、神を認識したりするかもしれませんが、
一度体験され、認識されたものは、すでに過ぎ去った古いものです。
あなたはそれを何度も味わいたいと思うかもしれませんが、
しかしそれは、古びた体験を何度も繰り返したいという欲望でしかありません。

このような体験の反復があるところには、新しいものは何もありません。
なぜなら、すでに体験されたものは過去の記憶でしかないからです。
あなたはそれを掘り起こして、何度も味わいたいと思っているだけです。
新たなるものは、決して記憶や反復の中にはありません。
何かを繰り返したいという衝動は、満足と快楽の追求にすぎません。

決して枯れないもの、古びないものは、過去を超えたものです。
それは一瞬一瞬新たであり続けるもの、現に生きたものです。
それは過去の記憶を持たない「現なる生」であり、一瞬一瞬の生の活動です。

一瞬一瞬生起しつつあるものは、常に新しいものです。
それは過去でも未来でもなく、思考や心の動きを超えた「現なる一瞬」です。
この一瞬一瞬が新たなる生の創造です。

この一瞬と共に生きる精神だけが、自由な精神であり、
そのような精神は時間の領域には属さず、古びることを知らないのです。
なぜなら、この一瞬にあり続けるものは、常に新たなるものだからです。

◇ディヴァイン・ソウル＆梵我蓮‐スピリチュアル・ユニバーシティ‐

Trackback URL

http://divinesoul.jp/column/henry17/trackback