真理と光の証人　シモーヌ・ヴェイユの言葉10

「空(くう)を満たすものとしての未来。過去もまた、同じ役割を果たす。
過去と未来は、想像力を馳せて高揚した感じにふけるには、
限りない場を提供してくれる。だからこそ過去と未来を捨て去るのが、
捨て去るということでは、まず第一にすべきことである」

私たちは、想像力によって自分の心の空虚さを満たそうとします。
そして、それが満たされるのは、いつも過去の未来のどちらかです。
私たちは心の空虚さが耐えられないから、過去と未来で心を満たそうとします。

かつてあった出来事の記憶にすがりついて、現実から逃避することはできます。
同じように、未来の自分を想像して満足感に浸ることもできます。
すでに終わってしまった過去の記憶に固執して心を満たし、
また、ありもしない未来の自分を投影することで心を満たそうとする。

過去であれ未来であれ、想像力を使えば”現実”から逃避することができます。
しかし”現実”から逃避する精神は、あまりに未熟でしょう。
現実からの逃避、現実の自分自身の空虚さが耐えられないから、
過ぎ去った記憶に依存し、また虚偽でしかない想像の未来に身を委ねます。

自分にとって喜ばしい過去の記憶にすがりつくのは簡単です。
また、想像によってありもしない現実をイメージして作り上げ、
それによって妄想的な高揚感に浸ることも容易です。
しかし、過去の記憶はすでに死んだものであり、
想像によるイメージは虚偽でしかありません。

私たちは「現実」を生きなければなりません。
「生」とは、過去や未来ではなく、「今」という現実を生きることです。
あるがままの現実、偽りのない真の現実は過去にも未来にもありません。
過去と未来、その記憶とイメージの中には真理はありません。

真理、リアリティは「現に生きたもの」であり、
それは過去と未来を超えたところにあります。

◇ディヴァイン・ソウル＆梵我蓮‐スピリチュアル・ユニバーシティ‐

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